第25章 オリへ
[梶さん………]
私が暗い顔をしていたから慰めてくれてたようだ
彼の言葉は胸にスッと染み入る
さっきまで湿っぽくてジメジメとしていたけれど太陽でも差したように明るくなる
悩んでいた心が彼のおかげで晴れてくれたようだ
[ふふ………ありがとうございます…]
[……………その方が良い]
お礼を言うと私の髪を今度は乱暴に撫で始める
しかも今度は両手で なにゆえ
[…もう………!くしゃくしゃにして…]
[ふっ………]
これ絶対楽しんでるな 笑み浮かべているもの
でもこんな梶さんを見るのもこの前以来だ
こんなにリラックスとした表情を少しずつだけど見せてくれるようになった感じがする
(心地いいな………)
乱暴だけど気持ちいい
しばらく撫でさせてあげようかと思ったことろで手が離れる
(あ)
寂しい
(もう少し撫でて欲しい)
彼に甘えてしまいたかったのかもしれない
我ながら何様なんだろう
[……………梶さん……]
[もう撫でてくれないんですか………?]
口からぱっと出てしまった
今思うととんでもない事を言っていたのだろうがさっぱり気づかずに思い返すと火が吹き出そうになるくらいなのだがこの時の私はそれしか頭になかった
[……………………………っ]
[お前は…………………]
あれ
頬に手を伸ばされ顔の距離がどんどん近づいてくる
唇と唇が合いそうになる所まで
甘い香りが漂う
いつの間にか舐めいている飴もなくなっていてその匂いだろうか
苺の甘い香りがくらくらする
このまま流されていいんだろうか
わからない 止めないと
そう思っていた時だった