第3章 瓶ラムネ
[十亀条Side]
手当が終わった後俺はお姉さんの家に案内された。
(わ、わぁ……)
まさか家に行くことになるなんて思わなかったから
ドキドキしている
話してみて気づいたけどお姉さんと一緒の空間にいられることがたまらなく心地いいから
(……ってあれぇ)
突っ立っていると何を持ってきたかと思えばお姉さんが瓶ラムネを持ってきてくれた
たまたまなのかな 俺が好きなものだった
(ラムネだぁ)
お姉さんも好きなんだろうか
好きなものを共有できているようで嬉しかった
瓶ラムネをもらって座るとお姉さんが名前を聞いてくる
(えぇ…な、名前)
どうしたらいいんだろう
(でもぉ)
ここで言わなかったら後悔する そんな気がして口にしていた
無意識だった
この時俺は自分のことを知ってほしいと思っていたんだろう
そしたらお姉さんは俺の名前を素敵だと
(素敵かぁ)
褒められた
頰が緩みに緩んでしまう こんなに褒められるのが嬉しいなんて思わなかった
本当にお姉さんは優しい
俺が思っていた通り思いやりのある人
(ああ)
(この輝きに浸っていたい)
暖かくて隣にいられるのならずっと
(一緒にいたい)
(…………お姉さんが嫌でなければ)
自然と心のなかに湧き上がっていた