第3章 瓶ラムネ
[十亀条Side]
さりげなくお姉さんの名前も聞けてよかった
あんな事をしておいて話してくれるなんて思わなかったから余計嬉しくて舞い上がっていた
正直じゃないってよくないねぇ
その名前を聞いただけで胸が弾む
俺の名前が素敵だと言ってくれたけど違う
お姉さんの名前のほうが素敵で綺麗な響きだ
ずっと忘れることはない
ちゃん
なんて
(うわ…お、俺……)
気付いたら咄嗟に口に出してしまっていた
自分で言っておいて恥ずかしいことこの上ない
このままお姉さんって呼べばいいものの
お姉さんは笑って気にしてなかったようだけど今思うと俺なりのささやかな抵抗だったのかもしれない
兄弟だとは思われたくないその一心だったから
未だになんでこんなことしたのかわからないのに不思議と後悔は全く起きず
ただ
お姉さんに男として見られたい
その気持ちが占めていたのに気づかぬまま俺は話に夢中になっていた