第22章 出会いⅢ
彼の胸に走って飛び込む
持っていた箒なんて落としたのを構わぬまま
[う……わ……]
[ちゃん…??]
条くんも驚いていて声を出していたけどそんなこと構っていられなかった
自分でも何をやってるんだろう
たった1週間しか経っていないけど
会いたくて仕方なかった
彼の服をぎゅっと掴む
ここにいるのは本物なのか確かめたくて
声を聞けばわかるのに体が勝手に動いていた
数分間このままの体勢でいたようで
[…………ちゃ]
居た堪れなくなったのか彼が何か言おうと口を開いた瞬間
[あ〜れ〜〜?]
[亀ちゃん何してるの?]
[ん???]
条くんの背中から聞いたことのある声がする
(……………?あれ…?今の?)
誰だろうと思い顔を上げようとすると
[………ぇ?]
いきなり手を回されすっぽりと隠されるようにされる
覗こうとしようとするけど条くんが大きくて全然見えない
(ど、どうして……?)
急に訳が分からない
もしかして会わせたくない人なんだろうか様々な憶測があるけどとにかく黙って従うしかしかないように思えた
手に籠もる力が強いように感じたから
[もぅ…ちょーじぃ……]
[驚かさないでよぉ]
少し困り顔で彼の顔を呼んでいたようだった