第3章 瓶ラムネ
[十亀条Side]
俺が連れられるがまま鶴の湯に入っていくと顔を合わせられるたびじいちゃん達に様々な顔をされる
驚いたりポカンとされたり
まぁこんなに血だらけの顔見ればそりゃそういう顔するよねぇ
ただ俺はお姉さんに手を繋がれたままで正直言うとあまり記憶にないが
(嬉しい)
じいちゃん達以外にこんなに心配してくれる人がいて
(なんだろう)
心がホワホワとして暖かい
不思議な感覚に包まれていた
その後は見ての通り傷の手当までしてくれて
(………)
人見知りだから目なんて合わせなかったし
挨拶されてもすぐ逃げたみたいなものなのに本当だったら取り合ってくれないはずなのに
(優しい)
(俺この人に何してたんだろ)
ますます後悔に追われる 自分のしてきたことに
それなのにも関わらず話もちゃんと聞いてくれて話すの下手なところあるから聞いて拒絶されるかとおもって不安だったけどそんなの杞憂だった
(……………お姉…さん)
頑張ったね、辛い時は呼んでいいってその言葉だけで
救われた
(ああ)
頼っていいんだぁ
こんな俺でも
じいちゃん以外にも頼っていいんだと
気が張っていたのかそんな事もしなくなっていた俺に
抱え込んでいたものが
この人のおかげで軽くなった
(って………わっ)
まさか頭を撫でられるとは思わなかったけどそれだけで幸福に満ちていた