第3章 瓶ラムネ
[………………………]
男の子は沈黙を貫いたままだ
(あ…これ言っちゃいけないことだったか……)
(やってしまった……)
言いづらいことを聞いてしまったようだ
どうやら彼にとって余計なお世話だったみたいと思っていたのだが
[違う……………]
[え]
間違いなく違うと確かにそう言った
お節介したかと思ったけど嫌ではなかったようだ
[ただ…変な人に絡まれただけだから]
[へ…変な人…??]
(どういうこと……?)
不審者ということだろうか
私はガーゼを男の子の顔に貼りながら聞き返す
[俺…こんな感じだから絡まれやすいみたいで]
[だからその……反撃した……]
(は、反撃………?)
(え?……こんなおっとりした子が……??)
繰り返すようだけど反撃といったよね?
(嘘……)
唖然とする
こんな優しそうな子が腕っぷしが強いだなんて信じられないが口ぶりからすると何回も喧嘩を売られているようだ
(…でもとにかく)
色々な考えが巡ったけど大きな怪我がないだけよかった
[そっか………頑張ったんだね……]
[…危ない時は呼ばないとだめだよ…?]
ポンポンと優しく彼の頭を撫でる
髪質がふわふわなのか気持ちよくてずっと撫でれそう
(というか触ってよかったのかな…)
今更ながら恥ずかしい
(って……あ…)
タイミングが良すぎる
彼とばったり目線が合うと
[……………う…ん]
[…ありが…とう]
[……!…うん……ふふ]
(可愛い…)
私が勝手に嫌われてるって感じただけかも
こんなに顔を赤くして返事を返してくれたのだから
素直でいい子なのは間違いなかった