第21章 必死
[十亀条Side]
それと同時に怪我をさせてしまって申し訳ない気持ちで溢れる
胸の中から子犬のようにぴょこと飛び出してきて
ちゃんは気にしないでと言ってくれたけど
置き去りにしてしまったのに本当なら責められてもおかしくない
(本当に…君って子は)
その優しさが身に沁みていたのだが次の一言で一変してしまう
助けてもらったと
それも男性
きっと安心させるために言ったのはわかる
聞いた瞬間どういうことなのか理解できないしこの時俺の頭は正気ではなかった
でもこれだけは明確になっていた
なんで
俺以外と触れないでよぉ
触ったことなんてわからないのに早合点をしていて俺は嫉妬にまみれていた
炎が燃え盛り消えることも知らず嫉妬はどんどん勢いは増す
気づいたら強引に押し倒していた
ちゃんの顔が驚きに満ちていたけどそんなこと気にもとめない
このしなやかな肢体も
美しい髪も
可愛らしい手も
艷やかな唇も
全部
全部
全部
俺のものなんだからぁ
ちゃんに触れた痕跡を上書きしたくて
欲望のまま唇を貪っていた