第18章 動揺
(……あれっ?というかこの感じ…)
全然痛くないというか既視感がある
本日で二度目の経験だった
[っおい!!]
[何やってんだ!お前…!]
梶さんの顔が目の前にある
端正な顔立ちだなと呆気に取られてしまったけど
私は梶さんに抱きとめられていた
ギリギリ駆けつけてくれたのか間に合ったようだった
[ご…ごめんなさい…]
[ったく………]
抱きとめられていた手をそっと離される
またこんな時におかしなことばかり
迷惑をかけてしまって申し訳ない気持ちでいっぱいで
なんで私ってこんなことしかできないんだろう
梶さんにも呆れられて
条くんもどっかに行っちゃうし
ごちゃごちゃだった
(辛い……なぁ……)
気づいたらそんな事しか思っていなかった
[っおい……]
[え……?]
[何で泣いてるんだお前]
頬が濡れている感触がある
どうやら私は泣いているようだった
[え…あ、ご、ごめんなさい…!]
何で泣いてるかもよくわからない
止まらない
収まらない
そう思っていた時
[謝るんじゃねぇ]
彼は優しい手で私の涙を拭ってくれていた