第18章 動揺
[…名前ですか…?]
[ああ]
名前を聞かれるなんて思ってもいないことだったのでキョトンとしてしまった
でもせっかくこうして聞いてくれたしなにより助けてくれた恩人だ
答えないわけにはいかない
彼の名前もちゃんと聞いてみたかったので
[えーと…鶴川です…]
[私もお名前聞いてもいいですか…?]
教えてくれるか不安で
肩に置いてある手にも自然と力がこもっていた
それを察してくれたのかはわからないけど
[梶蓮だ]
ありがたいことに教えてくれた
なんだか肩の荷が下りて少し楽になったように感じた
緊張していた証拠なのかもしれない
[素敵な名前ですね…!]
[教えてくれてありがとうございます]
[…別に…]
ここからだと顔が見えないけれどなんだか耳が真っ赤になっているように思えた
もしかして私が密着して熱いせいなのだろうか
(そろそろ家も近いし…)
[え…と…]
[ここまでありがとうございます…]
[もう下ろしていただいていいですから]
迷惑になる前に下ろしてもらおうと提案してみたのだった