第16章 危機Ⅱ
[ちょ…ちょっとまって…ください!]
いくらなんでも展開が早すぎる
これには口を挟まねばと思った
[こ、困ります…!勝手に…!]
私の声に気づいて振り返ってくれたけど
[ん〜お姉さんちょっと借りるだけだから]
[っね!]
にぱっと可愛らしい笑顔で言われて反論しづらい
でも条くんはこれからお手伝いに戻らねばならないし心を鬼にし言おうとすると
[え…!はや…!?]
さっきまで目の前にいたのにもう道路に出そうになっていてそれに応援に来た人も条くんが倒した人たちいつの間にか立ち上がっていてついて行っているようだった
[ちょ…ま……]
追いかけようと走り始めると
[いった……!]
右足の下駄の鼻緒が切れてしまって足が少し擦りむいてしまった
(こんな時に…でも追いかけないと)
片方の下駄を持ちながら走って行くと時すでに遅しでここから遠い距離にいてもう追いつけそうなくて
[ど…どうしよ……]
こんな一言しか出ない
条くんが連れ去られてしまったし下駄は壊れるし
どうしたらいいかわからなくて途方に暮れてしまった