第16章 危機Ⅱ
[ ちゃん!]
(嘘……)
驚いたけど追いかけてくれたみたいで気づいたのか駆け出してきた
[じ、条くん………]
[あぁ?男一人かよ]
[非力すぎね?]
[俺一人で充分だろ]
一人が条くんと対峙した
鼻で笑って挑発しているようだ
男の人達は笑って馬鹿にしているようだけれどその憶測は覆される
拳を振り上げて顔にぶつかるかと思いきや避けていて
条くんにとっては遅い動きだったんだろう
好機と見たのか男の顔面に手を這わせて地面に叩きつけていた
それを見てやばいと悟ったんだろう
私のことなんてお構いなしになっていて
動揺したのか結託して条くんを倒そうとしていたけど条くんはそれを物ともせず
次々と相手をなぎ倒していきしまいには全員倒れていた
私はそれに乗じて端っこに逃げたのだけど
(やっぱりすごい………)
あの時助けてくれた時もだけれど強いと一層感じてしまった
かなりの人数なのにそれをものともしなくて今思うと見惚れてしまっていたのかもしれない
(ぼーとしてた…)
(お、お礼を言わないと…!)
(ってえ…!?まだくるの…)
驚いて口を両手で抑えてしまった
どうやら増援が来てしまったみたいで
条くんが少し息を吹き終わった後眼前にいる人達に気づいたようだった
またかと呆れた表情で見ていて応戦しようとしたところ誰か見ていたのか頭上から声が聞こえてきた
[え〜!すごい!全部一人で倒しちゃったの!]
[君強いね!]
(え……誰…??)
条くんよりも背が小さくて可愛らしい印象の男の子
丁子くんと初めて出会ったのは