第16章 危機Ⅱ
[は、離して…ください…!]
[帰るんですから…!]
こんな強引に出るとは思わなくて手を離そうとするけど
力が強くて振りほどけなくて
[え〜帰らないでよ]
[そんな痛いことしないからさ]
[そうそうだからさ遊ぼうよ]
本当にしつこい
さっきから私の意見なんて無視して話しかけまくっているし
(手首痛いし力加減本当どうなってんの…)
どうすればここから抜け出せるんだろう
自分でもどうしたらいいかわからなくなってきてしまって
ここに誰かいれば違うんだろうけど
(だめ…誰も頼れない…)
手も塞がってしまっているし連絡しようにも何もできない
ますます何もしようがなくなっていた
来るわけがないかもしれない
でも
我儘を言っていいのならこの人に助けてほしい
[助けて……条くん]
そう呟いてしまっていた