第16章 危機Ⅱ
[あの…え〜と…]
前を見てなかったのも悪かったけどこんな人数で囲まれるのは中学生以来かもしれない
というかこの人達椿ちゃんから聞いたことがある
確か獅子頭連っていう喧嘩が強い人たちだったはず
獅子のマークがあるし間違いない
なんで私に声をかけたのかがわからなすぎるけど
[お、可愛い声だ]
[いいね〜お姉さん]
これはまずい
帰りたいのに抜け出せそうにない
なんというかいじめられた時と同じ光景がフラッシュバックしてきて少し震えが出てきた
でもこのままじゃだめだ
私は昔の私ではないのだから
自分を奮い立たせて帰りますと一言言おうとすると
[ちょ……!]
[お姉さん綺麗な手してんね〜]
[お!ほんとじゃ〜ん]
いきなり私の左手を掴んできた