第2章 交際宣言致します
「ご、め…………っ」
かぁあああ。
って。
顔、あっつ。
やだ。
もう。
「…………しんじゃいたい…」
「それは困る」
浴衣の裾で加賀谷の顔を拭きながら加賀谷の視線を隠せば。
すべてお見通しな顔して。
加賀谷の両手があたしの両手首を掴む。
「まって加賀谷…………っ」
近づいてくる加賀谷の顔に、キスを拒みたくて咄嗟に顔を俯かせれば。
それでも追いかけるように、加賀谷の唇に捕まった。
「あんた待ってばっかだな」
「加賀谷が、まってくんないからじゃん」
「待つかよ」
…………表情、が。
変わった。
これやば。
これ。
喰われる。
「ここ、外…………」
「関係ねぇし」
「あるよ!!誰か見られる、し。」
「見せねぇよ誰にも」
無駄だとは思いつつも、悪あがき的な抵抗で体を大木伝いになんとか立たせても。
なんなく加賀谷の指が、唇が。
それを追いかける。
指先が、耳を犯す。
唇が、鎖骨を這う。
「…………っ、で、も今他の、組警戒、って。み、まわり、とっ、…………か!!」
辿々しくしか言葉に出来ない自分が嫌。
こんな場所で。
こんな格好で。
加賀谷に淫らになかされてる場合なんかじゃないのに。
「見回り?」
ふ、て。
笑って。
加賀谷の手が止まった。
「お巡りさんもたくさん巡回してる夏祭りで?わざわざ騒ぎ起こそうなんて馬鹿いねぇよ」
むにって。
右手であたしのほっぺた挟み込んで。
加賀谷が覗き込む。
「…………ずいぶん意地が悪いのね、今日」
そのままむーっ、て。
ほっぺた膨らませれば。
さらにぐ、て。
頬を挟む加賀谷の右手に力が入って。
「くだんねぇことガタガタうるせぇ」
乱暴に。
加賀谷があたしに噛みついた。