第1章 冗談なんかじゃない
「…………ほら、また足伸ばしてる」
「そんなの、知らな…………っ」
息が。
続かない。
どこもかしこも熱くて。
吐く息にさえ酔いそうになる。
「も、おしまい…………」
腕で顔を隠しながらなんとか呼吸するだけだった身体が、びくんと跳ねた。
いくらカーテンで薄暗くなっているとはいえ、隙間から見える明るい光が目につく、ってのに。
足が目一杯開かれて。
羞恥心を自覚するより先に、加賀谷の舌がその場所を這った。
「ひ、や…………っ!?」
世継ぎ早に与えられる刺激に頭が追いつかなくて。
シーツにシワがよるくらい握りしめた反動で、腰が浮く。
「やめ…………っ、かがやっ、ががやぁ…………っ」
だけどすぐに動けないように加賀谷の腕が腰を押さえつけ、強すぎる刺激から逃げる手段さえ断たれた。
「まって、やだ…………っ、それ、歯、当たるのっ」
熱くて分厚い舌がザリザリと食べられるみたいに、噛み付くみたいに、這って。
硬い歯が、時々突起を掠める。
それだけで飛び上がるくらいに身体が跳ねるのに、それすらも許してもらえなくて。
「おねが…………っ、おさえつけんの、やだぁ」
逃すこともできないままに強すぎる快感だけが身体を支配して、頭おかしくなる。
「!!」
嘘。
舌…………。
はいってくる…………っ。
「や、だぁああ!!」
びくん!!
て。
身体が啼いて、足が痺れる。
視界が、かすむ。
いつもならここで身体脱力、するのに。
————ぐちゅん!!
て。
はじめて感じる圧迫感に。
息が止まった。