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蜜✖️蜜ラバー 〜お嬢様は、溺愛調教中!!〜

第1章 冗談なんかじゃない


そのままピシャリ、と病室のドアを締めて。
お父さんが出て行ったあとに残ったこの微妙な空気。
どーすんのよ、これ。



「あ、その、とりあえず元気そうで安心した」


点滴管理してる中にはいってるのはきっと痛み止めの類い。
ついでに酸素なんかつけられちゃってるこの状態を元気と言っていいのかわかんないんだけど。
口から出ちゃった言葉はもう、吸い込めない。
余計に流れた微妙な空気に耐えられなくて。


「無事な姿見たし、帰るね…………っ」



椅子に腰掛けた時間僅か数分で、立ちあがろうとすれば。
こっちを見てる加賀谷と、視線がぶつかった。



「かが、や?」


「帰らないんですか?」




酸素のマスクを外して。
加賀谷があたしを見上げてる。
なんで。
そんな顔、すんの。





「か、帰るよ」
「…………お気をつけて」



また、マスクを付けて。
加賀谷が視線をそらす。
そのまま横向いて、煩わしそうに目を閉じた。



カタン、て。
そのままパイプ椅子へと座り直して。



「加賀谷の考えてることが、わかんないよ」



点滴が繋がれている左手へと両手を添えれば。
ピクリ、と。
加賀谷の左手が反応する。



「痛くて寝ちゃいたんで、出てってもらえますか」




加賀谷。
目も合わせてくれない。
そんなにあたし、邪魔なんだ。
迷惑、なんだ。



「…………わかった」





震える声をなんとか絞り出して。
病室を後にした。
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