第1章 出会い
『いじめです。』
「クラスで?」
『はい。』
「そうか、、ごめんな。辛いこと聞いたな。」
『いえ、別に大丈夫です。』
「いっつも周りの奴らがうるさくて、全然クラスのこと知らなかったわ。俺、黒尾鉄朗。君は?」
『です。』
「さんね。ちょっと、携帯貸してくんない?」
『は、はい。どうぞ。』
「さんきゅ。」
そう言って私の携帯に勝手に何かを入力し始めた。何してるんだろ。新たな嫌がらせ?
「ほい、これ。」
返ってきた私の携帯を見ると、連絡先に黒尾鉄朗という名前が追加されていた。
「また、しんどくなったり、いじめられたりしたら、いつでもこれに連絡してきて大丈夫だから。また昼休みにでもここで話そう。」
私は久しぶりに人の優しさに触れて、泣きながらお礼を言った。
『ありがとう。』
彼は私のお礼を聞くと、ニカッと笑った。
「じゃあ俺、これから部活あるから。また明日、学校でな。」
そう言うと、彼は屋上のドアから校内に入って行った。
屋上で1人になった私は、死のうと思ったら死ねる状況だったが、何故かその時はもう死にたいと思っていなかった。
そしてその日はそのまま家に帰り、いつも通り過ごして眠りについた。