第1章 出会い
はぁ。もうどこにも居場所なんかなくなった。
みんなに無視されて、私のありもしない噂広められて、教科書は毎日消えて。
でも、辛い日々も、今日ここで終わりにする。
命を絶つことは簡単だ。ここから飛び降りるだけでいい。簡単。
『じゃあね、私。ごめんね。お母さん。』
そうして、屋上のてすりに足をかけ、手すりの外側に出た。
その時、
ガチャ
「ふうー、掃除ダルすぎて逃げ出してきたけど、流石にバレるか…」
「!?」
「お、おい。何してるの。」
まずい、見つかった。早く飛び降りないと。そう思った瞬間、
ドサッ
私は屋上に急に現れた話したことのない人に引っ張られ、手すりの内側に無理やり戻された。飛び降りるのを阻止された。
『な、何するんですか。やめてください。離してください。』
「離さない。だって今俺が離したら君、死んじゃうでしょ?」
『もういいんです。生きてても楽しいことないし、死んだ方がみんな喜びます。』
「なんでそんなに死にたいの?」
『あなたに関係ないです。ほっといてください。』
「そー言われてもねぇ。目の前で死にそうな子がいるのに、ほっとくわけにはいかないでしょ?」
『いいですから、そういうの。』
「君、何年生?」
急に現れたこの人は私の言葉を完全に無視して話しかけてくる。
この人は確か、同じクラスの、、よく周りに人が集まってる人。
名前は思い出せない。髪型が特徴的でそこだけは覚えている。
『2年です。』
「おータメじゃん。何組?」
『3組。』
「え、同じクラス?まじか。ごめん。俺人覚えるの苦手でさ。」
『いいですよ。いつも端の方にいるので、知らなくても変じゃないです。』
「てかなら、余計気になるんだけど。なんで死のうとしてたの?」
しつこい。さっき初めて話したのに、ずかずかと質問ばっかりしてくる。でも、なんか妙に話しやすい。どうせ死ぬんだし、別にこの人くらいになら話してもいいかな。