第2章 目覚めの珈琲
私がそう言うと、いずくんの顔がぱぁっと明るくなった。
けれど、その直後……。
「出久~?ちゃーん?降りて来なさーい!」
緑谷のおばさんの声が聞こえて、私達はお互いの顔を見つめ合い「どうしよっか?」と言いながらハモってしまった。
「ご飯食べるわよー!!」
また緑谷のおばさまの声が聞こえた。
「ご飯を食べるんなら流石に帰ってるんじゃない?……ほら、人数多いし」
私がそう言うと、いずくんはほっとしたような表情で笑っていた。
「確かにそうだね!!」
「「はーい!!」」
二人で階段を降りて行くと、リビングから見えるキッチンで、お母さんと緑谷のおばさまともう一人見知らぬ男の人が料理をしていた。
「、バーベキューするから手伝えよ」
窓の外から声がして、慌てて振り向くと庭にはたくさんの人がいた。
お兄ちゃんと、知らない女の人と、知らない男の子の3人。
「……遅ェ。これだからのろまなデクは」
知らない男の子はそう言うと、こちらを振り向いた。
ふわふわとした金髪のツンツンヘアーに、赤い大きな瞳。
顔だけはカッコイイけど、性格は断然範太のほうが格好良い。
わかりやすい、これがいずくんが苦手なかっちゃんって子だ。
そうわかった瞬間、辺りに乾いた音が響き渡った。
殴られたのだ。
と言っても、私じゃない。
あのかっちゃんっていう金髪の男の子が、だ。
私が突然のことに唖然としていると、殴った女の人は明るく笑いながらこっちを見た。
彼女の容姿は、殴られた少年にそっくりでとても美しかった。
「驚かせてごめんねー、私は爆豪光己。あっちで料理してるのが旦那の勝さん。ほら、勝己!!アンタも挨拶しな!!」
そう言うと、光己さんは勝己くんの背中をぐいっと押し、押された本人は悪態をつきながらも私達のほうを見た。
――確かに、これは怖い。