All is Dream Box【春パワー全開】*短編集
第11章 mumu/別れの時
「や、やぁ!」
「よぉ、流川……。つか、花道! ど、どけッ!! 重いんだよッ!!」
「はっ! す、すまんッ!」
下敷きになっている宮城先輩の上から下りたとき、流川は桜木くんを蹴っ飛ばした。
「イッテェ……。何すんだ、流川」
「そりゃ、こっちの台詞だ。どあほうが!」
「……はい、ストップ!! 用件だけ伝えたら帰るから。ごめんね、ちゃん」
宮城先輩は申し訳なさそうに、顔の前で手を合わせ、片目を瞑って、謝罪した。
「安西先生が、お前の送別会しようってさ。だから、もう少し経ったら、体育館に来いよ」
流川は無言で頷き、「しっ、しっ」と手で二人を掃いた。
「へいへい、邪魔者は帰るよ。……ちゃん、ごゆっくり♪」
「……さん、気をつけてくださいね! 狐顔してても、中身は狼ですから……」
去り際に二人は私にヒソヒソと耳打ちし、去っていった。冷たい風が私たちの間を通り抜けていく。戻ってきた静かな空間。