第2章 完璧執事は高校生
「…………」
「待ってハイセ…………っ」
無言で、掴んだ裾から手が離されて。
慌てて顔をあげれば。
「わ…………っ、何」
ガバって。
ズボッて。
「…………これハイセ、の?」
制服の上から今までハイセが着ていたパーカーが、着せられた。
「制服邪魔。特にそれは無理だろ」
「あ…………」
そっかそれで手、離されたんだ。
ハイセってば。
かなり口数少なくない?
無愛想だし。
全然何考えてるかわかんない。
『今』、とは全然違う。
ハイセ。
なんだよなぁ。
「…………何」
「…………幼いな、って思って」
あ。
しまったつい。
失言でした、とでも言わんばかりに右手で口を塞げは。
不機嫌に舌打ちして。
ハイセはいわゆる『ラブホ』、な部屋のドアをだいぶ乱暴に開けた。
「おまえさ」
「…………はい」
部屋入るとすぐに。
靴のままにそのままドアに背中が押しつけられて。
ハイセが。
ハイセの両手が行手を阻む。
見上げたハイセは怒ってるようにも見えて。
「失言でしたすみません」
作り笑いをなんとか張り付かせ、誤った。
けど。
無言のままにハイセがあたしを見下ろすだけで。
沈黙が。
余計怖い。
「今から何するか、知ってる?」
「な、に、する…………」
って。
ボン、て。
一瞬で頭が焼き切れた。
な、な、な…………っ。
何。
って。
だって。
「や、す、むだけ…………っ、て」
「男とこんなとこ入っといて?」
「だってぐ、あい悪い…………」
「ああ、すこぶる悪い」
「…………ぇ」
「へんなの盛られた」
「へんな、の…………?」
「そう。だから適当に女ん家行って発散しよーとしたのに、おまえが変に構うから」
「あ、たし…………?」
「そう。看病してよ、『お嬢様』」
—————ドクン!!
あ。
やば。
これ。