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奥まで愛して —お嬢様✖️溺愛執事—

第2章 完璧執事は高校生





「…………またおまえかよ」


「え」




聞こえた不機嫌な声に顔をあげれば。





「…………ハイセ」





肩で息しながら。
すごく不機嫌そうに上から、ハイセがあたしを見下ろした。



「どうかした?なんか…………」



顔も、赤いような。
頬へと手を伸ばそうとした手は。



「触んな」



嫌悪とも取れる、心底不機嫌な声と手に、振り払われた。




「…………なんでこんなとこいんのおまえ、おかかえ運転手どーしたよ」
「あ…………」



ハイセに拒絶されたショックがこんなにもおっきいなんて思わなくて。
声が、出ない。
困惑して目を逸らせば。
短い舌打ちのあと、ハイセの足音が、耳へと届く。


「待って行かないで!!」



思わず振り向いて掴んだ右手は、思いの外かなり熱くて。
大袈裟な反応を見せるハイセに一瞬息を飲む。


「ハイセ、具合悪いの?熱、とか」
「構うな、悪くねぇし」
「でも…………」


身体。
熱い。
やっぱりこれ、熱あるんじゃ。
そーいえばさっきからなんか、辛そう。


「…………構うなっつってる」
「構うよ!!」


両手でハイセの右手をぎゅうって握って、両足に力を入れた。
また、転ばないように。



「具合悪いんでしょう?タクシー呼んで…………」


しまった。
お金ない。



「…………」


「寄りかかっていいから、歩ける?ハイセ」




道の真ん中で立ち止まってるのはさすがに目立ちすぎる。
どっか…………。
て。
どこ。
うち、にハイセ連れてくわけにもさすがに。
しかも適当に歩いて来ちゃったし。
道、微妙。



「…………構うなって、言ったからな」
「え、うん?」
「自己責任てやつだよな」
「?」
「休むなら、いいとこ教えてやるよ」

「え」



ぐいって。
右腕が引っ張られて。
ハイセの後に、着いていく。


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