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奥まで愛して —お嬢様✖️溺愛執事—

第2章 完璧執事は高校生


一礼をして、部屋を出ていく女の人。
ハイセはこの夢には出てこないのね。
代わりに彼女が、あたしのお世話役ってことね。


ハイセならあんな時、『食欲ないなんて一大事!!』と言わんばかりにまたお医者!とか言いだすのになぁ。
なんて。
そんなこと思うだけで笑みが溢れた。







とりあえず。
ここは夢の中、で。
時系列で言えば、きっと高校生よね。
変に冷静にさえる頭も、きっと夢の中ならではなのかしら。
そのまま支度をして、門のところで待機していた車に乗り込む。
うん。
まぁ、懐かしいかな、やっぱり高校生の時の時系列みたいね。
制服が懐かしい。
車の窓から見える風景たちも、懐かしい。
懐かしさに知らずに笑みが溢れて。
同時に。
いくら夢とはいってもハイセのいない世界がこんなにも色褪せて見えちゃう事実に。
吃驚した。






のに。




「嘘」



車から降りて、挨拶されるままに挨拶返しながら正門をくぐれば。
今度こそよく見知った、懐かしく愛しい面影が、目の前にあった。


しかもしかも。
嘘でしょ。


「なんで制服着てんの!?ハイセ!」


「ぁ?」


ハイセ、と呼ばれて不機嫌そうに顔を歪めるあたり、まぁハイセで間違いないんだろうけど。
どう見てもハイセだし。
ハイセなんだけど、ハイセじゃなくて。
見知ったハイセよりも全然幼くて。
しかも制服。
何これ。


「ハイセも、高校生になっちゃったの?」



めちゃくちゃ最高じゃん。




「…………何お前、1年?」
「え」


あ。
学年。
あたし今何年生なんだろ。


「気安く呼んでんじゃねぇよ。目障りだ」



「…………ぇ」



カバン片手に、わざとらしくあたしの横を通り過ぎて。
カバンがあたしの肩を押す。
拍子に。
あたしがその場によろけてもただ一瞥するだけで、ハイセはそのまま校舎へと消えていった。



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