第34章 猫の恩返し 中原中也
無言の時間が流れていた、、、
ほんの数秒だろうが、とても長く感じた。
『あっ、、あのっ、、えっ、、、?』
瞳を見開いたまま固まっている中也さんに恐る恐る声をかけた。
すると中也さんは聞き取れないほどの小さな声で何かを呟いた。
聞き取れなかったこともあり、もう一度聞き返そうとすると彼の言葉に再び私は瞳を見開いた。
「、、、なのか、、、?」
『ッ、、、ち、違っ、、、えっ、、、////』
違うと云おうとしたが、云えなかった。
何故なら中也さんに抱き締められていたからだ。
「俺の瞳は誤魔化せねぇぞ、、その瞳はだ。違ぇか?」
『ッ!』
彼の言葉に涙が溢れ出した、、、胸の中で何かが弾けたように。
中也さんは私が落ち着くまで抱き締めてくれた。
そして私は全てを話した、、、、そして謝罪をした。
『本当にごめんなさい、、、。処刑するならして下さい、覚悟はできています』
「ッ!裏切り者は処刑だ、、、だが手前は命をかけて俺を扶けてくれた。あん時、手前が現れなければ流石の俺でも死んでたんだ。」
処刑なんざする訳ねぇだろ、と私の頬を撫で乍ら優しく話す中也さん。
「、、、逢いたかった」
『ッ、、、私もです、、、逢いたかった』
自然と二人の距離は近づいた。
まるで磁石のように、、、、
鼻先が触れ、唇が重なり合うまであと数センチ、、、、
「は〜い、そこまで!」