第33章 出逢いと別れ 中原中也
「よしっ、こんなもんか。後は頼むぞ」
「はい!お疲れ様でした。中原さん!」
首領の命である敵対組織を解体した。
異能力者もいない組織を解体するのは容易いなことだ。
全員始末し、後の処理を部下に任せて帰ろうとした時だった。
カサカサッ
「ン?」
何かの気配がした。
なんとなく辺りを見渡すも特に異常はない。
気のせいかと思い、再び帰ろうとすると今度はハッキリ聞こえたのだ。
にゃーん、、、っにゃー、、、
猫の鳴き声だ。
俺の足は自然と鳴き声のする方向へ向かっていた。
「ッ!手前、、、撃たれたのか?」
大柄男の死体のそばに一匹の猫が腹部から出血し倒れていたのだ。
どうやら流れ弾が当たったようだった。
猫は苦しそうに荒く短い呼吸を繰り返していた。
死が近いことを悟ったのだろうか、猫は瞳を閉じていた。
気付けば俺は猫の頭を撫でていた。
放っておけなかった、せめて逝くまで見守ってやろうと思ったときだった。
「ってぇ!」
猫が俺の手を引っ掻きやがったのだ。
睨みつけると其奴と目が合った。
これが俺と此奴の出逢いだ。