第32章 踏み出す一歩 国木田独歩
「はぁー、、、」
「どうかしたんですか?国木田さん」
大きな溜息を吐く国木田に敦が心配そうに訊ねる。
「いや、なんでもない。」
「何かあればいつでも云って下さいね!」
「ああ、ありがとな。なんだ太宰」
敦に礼を伝えると前方から視線を感じた。
「ふふーん、国木田く〜ん、君の悩みはこの太宰治が解決してあげようではないか!」
「ッ結構だ!!」
ニタニタする太宰と焦る国木田、二人の様子に敦以外の社内にいた与謝野、谷崎兄妹がなんだなんだと2人を囲った。
「国木田さん本当に大丈夫ですか?」
「大丈、、、、」
「敦くん、国木田くんはね童貞を卒業しようと必死なのだよ!」
「へっ!?」
「ッおい!!」
太宰の言葉に敦は顔を真っ赤に染め、国木田はブチギレた。
然し数分後には、、、、
「うーん、雰囲気は大事だねぇ」
「アロマとか焚くのもいいと思いますわぁ!ねぇ?兄様〜?」
「そ、そうだね、、、ナオミ、、、」
「雰囲気、、、アロマを焚く、、、成程」
与謝野とナオミのアドバイスをご丁寧にメモする国木田の姿があったのだ。
「国木田くんそんなことしなくてもドサってしてえいっ!ってしてしまえばいいのだよぉ」
「ドサっとして、、、えいっ!、、、」
「それは太宰さんだから出来るのでは、、、?」
「ふふ、照れるなぁ。敦くんは私が経験豊富なことをよく判っているねぇ」
気が付けば探偵社内では国木田の童貞卒業作戦が練られることになったのだった。