第29章 最初で最後の恋 織田作之助
太宰「それで彼女は、、、?」
「一ヶ月後に死んだ。」
太宰「そうかい。何故気持ちを伝えなかったんだい?」
「何故だろうな。」
太宰にはああ云ったが、本当は判っていた。
怖かったのだ。
彼女に好きだと伝えれば、が死んでしまうのではないかと。
結局は死んでしまったがな。
彼女がこの世を去ってからすぐの事だ、俺は一冊の本に出逢った。
いつか小説家になりたいという夢が出来たのだ。
これはきっとが俺に生きる道を与えてくれたのだと感じた。
それから俺は殺し屋を辞めた、人を救う人間になることを決めたのだ。
ところがひょんなことから太宰と出逢い、ポートマフィアに加入することになった。
勿論マフィアになってからも人は殺すことなく雑用をこなしていた。
なんとなく太宰と出逢わせたのもなのではないかと思っている。
友なんていない俺に彼女が出逢わせたに違いない。
彼女と出逢った日のようだった。
今回は俺が助ける側になったが、、、、。
気が付けば俺の周りには人がいた。
昔じゃありえないことだ。
に逢えないことは辛いが、俺は彼女の為にも生きる。
そしていつか俺が死んだ時は笑顔で迎えに来てくれよ、、、、。
俺にとってはとの恋が最初で最後だった。