第28章 初恋 織田作之助
---時は遡ること9年前
俺は殺し屋だった。
金の為、、、生きる為にはこの道しかなかった。
「くっ、、、」
先程の任務で敵に腹部を刺されたのだ。
数十人相手に一人で戦ったことが原因で、ほんの少しの隙ができたせいだ。
幸い、異能力のおかげで急所は外すことができたものの刺されたのには違いない、痛みを抑えながら路地裏を歩いていたものの力尽きその場に座り込んだ。
『君、、、大丈夫?』
突然声をかけられた。
目線を上げると、そこには同い年くらいの少女が俺のことを不思議そうに見つめていた。
美しい顔立ちの彼女に自然と胸が高鳴ったが、俺は無視をした。
『ねぇ、聞こえてる?もしかして耳が聞こえたいとか?』
無視をしているのにも関わらず、俺に近づき話しかける彼女に俺はつい、、、、
「聞こえてる。」
答えてしまったのだ。
俺が答えると彼女は途端に太陽のような眩しい笑顔で再び話しかけてきた。
『なーんだ、聞こえてたんだ!それでこんな所でどうしたの?』
「別に、、、、」
『そんな訳ないでしょ、、、、あっ!君怪我してる!!ほら、捕まって!!』
「えっ、、、ちょ、、、」
小柄な割には力が凄く、彼女におぶられた俺はなすすべなく連れて行かれた。