【R18】カゴノトリは貴方の腕の中で鳴く【禪院直哉】
第10章 カゴノトリの生活
これがちゃんとしたお茶会なら、
中に入る…席入りのお作法があるが。
今は…正式な…物ではないので
にじり口から入って来て直哉が
そのまま自分の場所に座った。
座ったと言っても正座してる訳でも
何でもないし隣に置いてある
直哉様専用の脇息(きょうそく)に
自分の肘を置いて崩した体勢で
私のお点前を見ていて。
お城に呼ばれてお茶を点てる
茶人にでもなった気分だなぁ…。
直哉の分と自分の分の
お抹茶を点てて。
直哉の横に座ると、
一緒にお土産の赤福と
生ういろを頂いた。
虎屋の生ういろは
期間限定の味もあったりして。
栗のういろと、いちごのういろ
それから小豆のういろの3つで。
『茶室…つこてへんかったから
ここから見る庭もええもんやな…』
「お屋敷のお庭がいいからですよ…」
『俺も…この屋敷の庭は
気に入っとるんやで?
まだ日ぃ暮れてへんし…、
これ飲んだら…ちょっと散歩せぇへん?』
「ええ、勿論…ご一緒させて頂きます」
まだお夕飯までは時間もあったし、
夕方と呼ばれる時間には
差し掛かりつつあったが
庭の散歩をするには問題ない位で。
お屋敷の庭を直哉と一緒に
歩いていると、ふと直哉が
その足を止めたので、
同じ様にも足を止める。
『まだ先の話…やねんけど……、
夏に…毎年禪院家で
御三家会議あるんやけどな…。
その時に…濃茶点ててくれへんやろか?』
「あの直哉様…それは…、
私に拒否権…ありますでしょうか?」
『いや、
あらへんねんけど…言うただけ。
そのついでに…その日ぃの
家の花も活けてくれんやろか?』
直哉の言葉に…が
じろっと睨む様な視線を向けたが
はぁ~っとため息をついて。
「要するに…5月にお琴の
ご披露が済んだら…お稽古は
お茶とお花が中心になると言う意味ですね」
『流石、俺のちゃんやん、
物分かりようて助かるわぁ~』