第4章 【育児編】
そんなことに鼻息荒く息巻く海人って、不思議やな〜
と思いながら隣におる海人をまじまじと観察する。
普通さ、仕事もプライベートも一緒におったら
飽きるって思うやん?それにほら、よぉ言うやん。
夫婦で美容室やっとる人らとか四六時中一緒に
おったら嫌になるとか、おんなじ仕事しとるせいで
普通やったら見んでもいい嫌なとこが目に入るとか。
けどさ、何年一緒におっても海人って…飽きんのよ。
嫌なとこ目に入るどころか、仕事への向き合い方とか
ひたむきなとことかめちゃくちゃかっこいいし、
周りの人への接し方とか優しすぎるんよ。俺が背中に
雪だるまスリスリした時も全然怒らんかったし。
あれ、絶対普通の人にやったらイラッとするやん 笑
少なくとも俺がやられたらイラッとする思うけど、
海人のあの反応はヤバかったよなぁ…笑
…え、待って?海人の思い出し嬉しバカにできん
くらい、俺も思い出し萌えしてしまっとるんやけど
まぁえぇわ。
あと…、単純にパフォーマンスしとる海人って
ズルいくらいエグカッコいいから
ライブ後、抱かれたなんのよ。
やから、変な話…
ライブやったらレスなんか一発で解消する気がするわ。
「え、だってさ、廉ってオレじゃない人とは表でも
仲良しアピールするくせに、オレとのことは
あんまのせてくんないじゃん!!
その廉がああやってファンの子に見せてくれて
マジ嬉しかったかんね?ほんと、あの頃泣くくらい
仕事と実習の両立辛くてさ、あの廉を励みに
乗り越えた感あるから!!」
その頃のオレはΩであることを秘密にしていた
廉のために仕事の合間を縫って、
看護師資格を取るために実習にはげんでいた時期で。
いま冷静になって考えるとその頃のオレ達はまだ
想いを伝え合ってすらなくて、廉に受け入れてもらえる
保証なんかどこにもなかったのに、よくそこまで
がむしゃらに頑張れたよなって自分でも思うんだけど、
なんでだろう…
廉にはオレだし、オレには廉、っていう
絶対的な自信だけはあったんだよね…。
2人で活動していくうちに日に日に
廉に大切にしてもらってるなぁって。
オレも同じくらい廉を大切にしたいなぁって。
その気持ちがあったから
廉のためだったら何だってできるって
何だってしたいって本気でそう思ってたんだ。