第7章 ハニーにハニーをお届け作戦
パーティーの幕が開く
“婚約発表”の垂れ幕の前に立つ俺に、驚喜の目が注がれる
茶番の合図が告げられて、初めて会う女がバカみたいな笑顔で壇上に上がる
乾杯の号令と共に、グラスを合わせる音が会場に響き渡る
「和也、これで何時までもフラフラして居られないだろう?」
「……」
「……バカな男遊びは終わりにしろ」
「……」
(遊びじゃない…本気だよ)
ねぇ、父さん
アンタはこんなに本気で人を愛した事がある?
こんなに胸が苦しい想いをした事がある?
それさえあれば何も要らないってものに、出逢った事がある?
俺はあるよ父さん
雅紀がそうなんだ
アイツを本気で愛してる
アイツを想うと胸が苦しい
アイツさえ居てくれたら…俺はそれだけで良いんだ…他に何も要らないんだよ
父さん俺…
…俺…
「…ぃ…ょ…」
「…ん?何だ和也」
「…ぃゃ…だょ…」
「んん?」
「嫌だよっ!!」
俺の大声に、会場が静まり返った