第7章 ハニーにハニーをお届け作戦
(居ない…居ない……何処にも居ない!!)
なんやかんやの用事を済ませて、もうすぐ出かけなくてはならない時間になったので大野くんに声を掛けておこうと部屋に戻ると
そこに大野くんの姿はなかった
部屋から出ちゃダメだって散々言ったのに、どうやらこっそり抜け出したらしい
もし見つかって連れて行かれたのであれば、それなりに騒ぎになっているだろうけど
でも、そんな気配は一向にない
だとするとこの屋敷の何処かには居る筈だ
「もぉ〜…大人しくしてろって言ったのに…」
俺は屋敷中を探して回った
「ぼっちゃま、こんな所にいらっしゃったのですか…何をなさっておいでで?」
キッチンをうろついて探している所で景山に見つかる
「…ちょっと、小腹が減ったから…」
「もう出立のお時間です。
会場に着きましたら簡単な食事を用意させますのでお早く…」
「解ったよ…その前にトイレ」
「お早くお願い致します。今日は大旦那様もお出でなんですから」
俺は景山に急かされながらトイレに入って、こっそり雅紀に電話をした
『もしも…』
「どうしよう雅紀!大野くんが居なくなっちゃったっ!!」
『…え』
「勝手に部屋から出ちゃったみたいで…
まだ見つかっては無いみたいなんだけど、俺もう会場に向かわなくちゃならなくて
…どうしよう…」