第5章 眠れぬ夜が明けて
「…もう、日付変わってるよな?」
「ん?そうだね…今4時だよ?」
「俺、明日…婚約披露パーティーがあるんだ」
「…そう」
「新年会やったのと同じトコでさ…其処で初めて会うんだ、婚約者に」
「そうなんだ」
雅紀の大きな暖かい手が、俺の髪を撫でている
この温もりを…何時までも感じて居たかった
何時までも…出来れば、死ぬまで一生…
「…もう、行かないと」
「うん…あ、ちょっと待ってね」
「ん?」
雅紀は裸のままベッドから這い出すと、俺にメモを渡した
「ニノ、携帯持ってきた?」
「え?あっ…持ってない」
「だよね?急いでたもんね?」
そう言うと雅紀はそのメモを俺の手に握らせた
「俺とおーのくんと、一応櫻井くんの番号だよ」
(一応(笑))
雅紀も櫻井さんの扱いは結構雑だよな、とか思いながら俺はメモを握りしめた
「ニノの悪いトコはね、諦めが良い事だよ」
「…え?」
「絶対迎えに行く…だから何も考えないで、俺だけ信じて?」
「…ぅん」
俺は愛する人に抱きしめられながら
本当に何も考えなくて済むなら良いのにと思っていた