第2章 失われた日常
「あ、そうだ!電話してみよう」
そう思い立って、携帯を取り出しながら、ニノの方から一度も連絡が来なかったコトを思い出す
電話は何時も留守電で、メールも何通も送った後に帰って来るのは
“ゴメン、忙しくて連絡できない”
って、短い返信だけ
(…なんか変だなぁとは思ってたんだよなぁ)
久しぶりに帰った実家だし、ニノの家は大きくて色々あるから
きっと本当に忙しいんだと思ってソコまで深く考えていなかったんだけど、まさか…
「……結婚なんて……」
ニノは俺に、結婚なんかしないって言ってくれてた
仮に結婚した所で、俺には女は抱けないって…
…それが…
(大丈夫だよね?
ニノ…すぐ、帰ってくるよね?)
ニノの携帯に電話を掛けると、呼び出し音は鳴らず、スグにプツッと音声が切り替わった
『お客様のお掛けになった電話番号は、現在使われておりません…』
「えっ…!!」
使われて…ナイ?!
携帯を握りしめて愕然とする
背中を、嫌な汗が流れ落ちる
「………ニノ…!!!」
嘘だ…嘘でしょ…
そんな…ニノと……ニノに……
「……もう、二度と逢えないの……?」
俺はその場に立ちつくして、残酷な告知をした携帯電話をポトリと落とした