第5章 眠れぬ夜が明けて
「はぁ~、疲れた。」
どこぞの会長だとかいうオッサンとの会食を終えて、俺は心身ともに疲れていた
そのオッサンは散々自分の娘の自慢話をして満足げに帰って行った
だけど
どんだけ美人でも、どんだけの才能の持ち主でも
そんな事は俺にはどうだって良かった
ブスだろうがバカだろうが、そんなもの、何だって同じだ
俺はオッサンが帰るとすぐに部屋へ戻った
早く一人になりたかったのに、何故か部屋まで景山がくっ付いて来た
俺が寝るまでは部屋を出ないでいるつもりらしい
…きっと、見張っているんだろう
不意に今朝の景山の台詞が頭を過る
“相葉様の声を聞いたら…”
微かな望みを持って、景山を呼ぶ
「おい、景山」
「はい、ぼっちゃま」
「こんなに疲れ果てた俺を見ても、声だけでも聞かせてあげようって気にはならないのか?」
「なんの事で御座いましょう?」
満面の営業スマイルでトボケる景山
「……むかつく」
俺はシャツに手を掛けた
「俺はもう寝る!さっさと部屋を出ろ!」
「…はい」
むしゃくしゃする気持ちをぶつける様に乱暴に服を脱ぎ捨てる
何だか背中に視線を感じて振り向くと、景山が俺をじっと見ていた