第5章 眠れぬ夜が明けて
でっかいベッドの端っこに膝を抱えて座って、その膝に顔を押し付ける
「…女なんか嫌いだ…俺、お前じゃなきゃ駄目なのに……どうすりゃ良いんだよ」
俺に結婚なんか出来る訳が無かった
だって俺は、女を愛せない
もっと言えば、雅紀以外の人間を、全く受け付けない自信があった
そんな俺が、結婚なんか出来る訳が無いんだ
だけどきっと親父たちは
結婚さえさせてしまえばどうにでもなると思っているのだろう
でも、実際にはどうにもなりはしない
死んだって、後継ぎなんか出来る訳が無い…
「アレだな、最終的に人工授精してとか言う事になりそうだな」
(…それじゃ、母さんの二の舞だな)
考えたら、相手の女も可哀想だ
会ったコトも無いゲイの男と結婚させられるんだから
「…ホント、ロクでもないヤツらだよ」
家の為なら、誰が不幸になろうが眼中にない
…ココの連中は、そんな輩ばかりだ
だから、俺はこの家に寄りつかなかった
それでも
いずれはこの家を継がなければならないって言う使命感を捨てきれないのは
やっぱり自分にも“二宮”の血が流れているからなんだろうか
「…弟が継いでくれりゃ良いのにな」