• テキストサイズ

お散歩日和―にのあい―

第5章 眠れぬ夜が明けて







もう二度と帰る事が許されないと知った夜は、殆ど眠る事が出来ず

無駄に寝返りばかりを打っている内に明けて行った



最悪な朝を迎えた俺は、一人で寝るのには大き過ぎるベッドで眼を覚ました


ある訳も無い

目の前にある筈の大きな背中を探して虚しくシーツの上に手を這わす



夜が遅い雅紀を起こさない様に

何時も眼が覚めると、そっとその暖かい背中に頬を寄せるのに


その背中は、何処にも無かった



その背中が…その暖もりが恋しくて、自分の頼りないカラダを抱きしめる



「……何で居ないんだよ…………バカ」



また涙が滲んで来て、慌てて目を擦る



「…しっかりしろってんだよ…」



自分に言い聞かせるように呟いて、重たいカラダをベッドの上に起こして

ベッドサイドに置かれた真新しい携帯を手にとって眺める



「…まだ、寝てるかな…仕事、今日からだったな…」



(…声が、聞きたいな…


…顔が、見たいな…


……逢いたい、なぁ…)




/ 85ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp