第3章 二宮財閥
「…景山」
「何で御座いましょう?」
「お前、知ってるか?こう言うのをな、“軟禁”って言うんだよ」
景山が相変わらずの笑顔を顔に張り付けたまま言った
「存じ上げております、おぼっちゃま」
「……」
俺はまだ腕を掴んだままのガードマンを睨みつけた
「何時まで掴んでんだよ!痛ぇよ!」
「……」
ガードマンが無言で景山に目配せする
「もういい、離して差し上げなさい」
「はっ!」
「俺のが上だろ…何でお前の言う事しか聞かねんだよ」
俺はわざとらしく掴まれた腕を擦った
「屋敷の警備を取り仕切っておりますのは私めで御座いますから」
「…あ、そ。」
「では、ぼっちゃまはお部屋の方へ…」
「解ってるよ」
言いながら、玄関のドアを見詰める
(…雅紀が来てくれた…迎えに来るって…愛してるって、言ってくれた…)
俺はドアに背を向けて歩き出した
(…絶対に帰ってやる…雅紀の所へ…帰るんだ…)
だけどその想いはその夜の爺ちゃんの一言で
呆気なく砕かれてしまった
「和也には、結婚して貰う」
…その、一言で