第3章 二宮財閥
「大野くんが?!」
「はい、お帰り頂きましたが」
「何でだよ!!」
部屋で暇を持て余していたら
景山が部屋にやって来て、大野くんが俺に会いに来たと告げた
来客を知らせるベルが鳴ったのは気が付いていたけど、まさか大野くんだとは思わなかった俺は、寝転がっていたベッドから飛び起きた
(そうか…もう旅行から帰って来てたんだな)
てことは、当然俺と連絡を取ろうとした筈だ
で、繋がらなかったからココに来たのか…
(…いや、待てよ?)
「…来たのは大野くんだけ?」
「はい」
「連れが居ただろう?」
「いえ…あ、はい、いらっしゃいました」
「…撫で肩の方じゃなくって、背の高いヤツの事だよ」
「……」
一拍置いて景山が取り澄ました声を出す
「なんの事で御座いましょう?」
「…来てたんだな…それで追い返したのか」
握りしめた指の爪が手のひらに食いこんで、ギシギシと音を立てた
「…ふざけんなよっ…お前に何の権利があって…」
その時、再び来客を知らせるベルがなった
「雅紀っ!!」
「あっ!ぼっちゃまお待ちをっ!!」
俺は景山を振り切って玄関のエントランスまで走った
「ぼっちゃまを外へ出してはなりません!」
「はっ!」
エントランス脇に控えているガードマンに腕を掴まれる
「離せやっ!!俺は雅紀のトコに帰るんだっ!!」
「イケません、ぼっちゃま!」
後から来た景山がもう一方の腕を掴んだ
「離せっ!はなせぇーっ!!
雅紀ぃっ!!お願いだから離してよ!雅紀に逢わせてぇっ!!」