第3章 二宮財閥
おーのくんはそんな櫻井くんの手を取って、顔を斜めに傾けると訊いた
「なぁに?どうしたの翔くん?」
「…俺、どうすれば良い?」
櫻井くんはおーのくんと同じ様に首を傾げた
「どうって、翔くんは僕と一緒に居てくんなきゃ、イヤ!」
「智くん///」
「翔くん♪」
「さぁ〜としくんっ♡」
「しょぉ〜くぅんっ♡」
「もう、本当に仲良しさんだなぁ(笑)」
仲良しの二人をニノの実家の前に残して、俺は仕方なく家に戻った
「…ただいま」
誰も居ない俺達の部屋に戻ってリビングのソファーに深く沈みこむ
何時もニノは家に居るから帰って来て誰も居ないなんてコトは滅多に無い
俺の帰りが遅くても簡単な晩飯を食ってるとノソノソ起きてきて
「…おかえり」
って言ってくれる
そんで「ねみぃ」ってブツブツ言いながらベッドに戻って行く
スグに布団に戻るくらい眠いのに、ちゃんと「おかえり」を言ってくれるニノ
「早く、帰って来てニノ…俺、ニノが居ないとダメなんだ…」
仕事でどんなに嫌な事があってもニノの「おかえり」を聞いたらそれだけで気持ちが軽くなる
朝どんなに起きるのが辛くてもニノの「おはよう」を聞いたらそれだけで元気が出る
だから…
「ニノが居なくちゃ…俺は何一つ頑張れる気がしないよ…」
ゴロンと倒れたソファーから、微かに君の匂いがした