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【戦国BSR】幸村の影武者の非日常的な日常集

第6章 独眼竜が出てきたらどうしよう


遠くの雲は濁った色を見せ、湿り気を帯びた空気が雨の気配を感じさせる。

赤備えに天を仰ぐ二槍を構える真田幸村。対峙するは、蒼の羽織をはためかせ片手に三本、両の手で六本の刀を振り上げる奥州筆頭こと伊達政宗。

前にもどこかでこれと同じようなことがあったような、と思い当たり幸村に化けたまま小助はげんなりした。
勝手知ったる領地内。もはや習慣になった主への変化がよからぬ輩を引き寄せてしまったのか。
縁結びの神とやらは随分と偏った縁を押し付けてくる。そんな神いるんだかいないんだかわからないが。

いつかと異なり今日の小助の仕事は視察。

行先こそ告げてきたが、口うるさい保護者達はいない。人気のない山中で助けを呼ぶのは難しい。
はっきり言って、応援無しで幸村と互角の戦いをする政宗に勝つことは不可能に近い。
だが、地の利はこちらにあるはず。どうにか撒いて、逃げるくらいは可能だろう。変化を解けば、主にしか興味のない竜のこと、いないとわかればどこへなり消えることだろう。
とにかく、躱す。逃げる。この二択だ。

「どうした、またハライタか?」

人の神経を逆なでする口調だ。これが素なら相手を煽らなければ生きていけない病気にでもかかってるのだろうか。舌打ちしそうになるのを止める。今の小助は幸村。
幸村の品位を下げるような真似は許されない。
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