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絶対零度のさらに向こうへ🫧if…

第1章 ❄︎大人になるということ。〜爆豪勝己




絹のような美しい白い髪。早朝の空の如く、透き通った青い瞳。少しの力で折れてしまいそうな、細く小さな身体。そして彼女の周りをゆらゆらと静かに落ちる、雪。

純粋な白は、最も染まりやすい色である。

踊るように点滅を繰り返すクリスマスのイルミネーションに照らされ、さまざまに色を変えているその髪を耳にかけながら、彼女はベンチから立ち上がった。

彼が記憶していると間違いなく一致する。だからこそ彼女だと確信したにも関わらず、次の瞬間にはもう その確信は揺らぎ始めていた。


『久しぶりだねー』

そう言って首を傾げて微笑んだ彼女の唇は、艶やかに光を反射した。丈の短い黒いダウンの前は開かれ、タイトなアイボリーのニットワンピースの全容が視認できる。毛先が巻かれた長い髪は動作に合わせて妖しく揺れ、小さな子供に手を振った指の先も、シンプルだが薄いピンクのネイルが施されているのが分かる。


「………おぅ…。歳、とったな。」

『何それひどーい。デリカシーないなぁ。』

「変わったっつーことだよ」

『そりゃ10年もあればね。でも、爆豪はあんまり変わってないね。』


デリカシーのないところ。と、言いつつ個性で出していた雪を消滅させたが、爆豪の目の前まで歩み寄る。

自分を見上げる彼女の瞳を間近で見た彼の、先程少し高揚した胸は
 静かに冷めていった。


10年の間に、変わってしまったのだ。純粋で、子供のようで。キラキラしていた。青春、という言葉の象徴のような少女だった。自分の知らない間に誰が、何が、彼女を…


『背は少し伸びたのかな?それにしてもすごい偶然だね。飲みに行こうよ、No.1ヒーローさん?』



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