第1章 ❄︎大人になるということ。〜爆豪勝己
腕の中で、好きだった女が眠っている。
時計を確認すると、午前5時過ぎを示している。
カーテンの外はまだ暗い。
もう少し寝てられるか、と判断し、腕の中の彼女に目を落とすと、布団の中だが裸のままだ。
いつの間に眠ってしまったのだろう。昨夜の彼女を思い出すと、またムラっとしてしまうが、アルコールが抜けている今は理性でどうにか抑えられそうだ。
好きだった女。
今、は、どうなのだろうか。
クリスマスの夜、偶然の再会を果たし、酒を飲み、熱く互いを求め合った。その熱は、どこからきたものなのだろう。単なる性欲なのか、それとも…
(私ね、昔、爆豪のこと………)
両思いだったのか?
しかしそんなの気づくはずもない。互いに自分の気持ちにすら気づいていなかったのだから。
「ガキだったのは、俺も同じか。」
そして、互いに大人になった。大人になるのが、遅かった。
このまま、たった一晩体を重ねただけの、それだけの関係で、終わってしまうのだろうか…。
「らしくもねぇ…。」
そんなの、悲しすぎるだろ。遅くとも、気付けたのに。そして奇跡的に、会えたのに。
…手放したくない。
ぎゅっと、寝ている彼女を 抱きしめる。
『ん………ばくごう…?』
「まだ寝ててもいいぞ。」
『んーー、あったかい、ばくごう』
再び目を瞑ったの瞼に、そっとキスをする。
「…」
『…』
名前を呼ばれ、うっすらと目を開ける。
『でしょ?爆豪?』
「………なん…」
一瞬で胸を、抉られたような、感覚になる…
爆豪の腕の中から起き上がり、バスタオルにくるまると、彼女は続けて言った。
『私達、もう大人なんだよ。わかるでしょ…?割り切らないと。』
それぞれシャワーを浴び、退室する準備を整えた頃にはもう、時刻は7時を回っていた。
『いつまでむすっとしてるのさ。』
「元からこーゆー顔だわ」
確かにね、とケタケタと笑いながら、髪を溶かす。
「……‥次、いつだ」