第5章 好きの延長線
side.七海健人
私が名前さんに出会ったのは3年前。
私が25歳で、
彼女が17歳の時だった。
同居後。
彼女は高専に編入したが、
呪術師には向かなかったようだ。
今年20歳になった名前さんは、
補助監督の道を選んだ。
彼女自身も“窓”の方が
しょうに合ってるらしい。
「七海さん。朝だよ」
遮光カーテンが開き、
陽の光が私を照らす。
薄く目を開けると、
名前さんが窓を開けて
換気をしていた。
「おはようございます」
「あ。目、覚めた?おはよう」
穏やかな笑みを向ける彼女は、
毎日、健気に私の世話を焼く。
「よく眠れた?」
「ええ。お陰様で」
何がそんなに楽しいんだか。
「今日は焼きたてのパンがあるの。早く来てね?」
「分かりました。着替えたら行きます」
「はーい」
また早起きをして
私の為に作ったのか。
そこそこの朝食でいいのに、
彼女はいつも手の込んだ料理をする。