第3章 私の王子様
side.名前
「貴女さえ宜しければ、当面は私が面倒をみます」
「えっ!?そんなっ!?」
「では他に行く宛てがありますか?頼れる大人は?」
突然の提案に驚いてしまう。
行く宛ても、頼れる大人もいない。
でも、母の苦労を間近で見ていから…
私が甘えたら、
きっと七海さんの負担になる。
「因みに生活費など、諸々の心配はいりません」
「…えっ?」
「私には十分な貯えと仕事があります。貴女一人を養ったところで生活に支障はでません」
「………」
「それに貴女は子供です。自立するまで、大人の私が支えるのは当然です」
その言葉を聞いて、
不意に涙が溢れた。
血が繋がっている親戚は、
気味が悪いという理由で、
その当然を放棄したのに。
どうして貴方はそんなに優しいの?
やっぱり七海さんは私の王子様だ。
「…七海さん…」
「はい」
「お世話になります」
「こちらこそ」
私が泣きながら笑うと、
七海さんも釣られるように微笑んだ。
私が呪われた理由は、
貴方と一緒に居るためだった
そう思いたいよ。