第3章 私の王子様
side.七海健人
何故、
彼女はこの状況で笑えるんだ?
少女の言動に
違和感と戸惑いを覚えた。
怯えた様子もなく、
まるで私が助けが来ることを
知っていたような口ぶり。
この子は呪いに耐性があるのか?
湧き上がる疑問に、
怪訝な顔つきになる。
「…あの…早く…ここから出たいです…」
少女に急かされハッとする。
そうだ。
まずは彼女を救出しなければ…
考えるのは後にしよう。
「すみません。直ぐに移動しましょう」
彼女を横抱きにして持ち上げた。
部屋を出て、帳を上げる。
「…やっと…出れた…」
「そうですね」
「…金髪の…王子様が…助けに来てくれるって…分かってたんです…」
せん妄だろうか?
彼女はポツリポツリと呟いた。
私の胸の中で微睡む少女。
「もう大丈夫ですから。安心して休んで下さい」
彼女は最後にふにゃりと笑い、
意識を手放した。