第8章 不器用な告白
泣く私に、制服の袖でそっと涙を拭ってくれる二口さん。
二「場所変えるか。」
泣く私を他の人に見られないように配慮してくれたんだろう。私の手を取り、歩き出す二口さん。何処に行くのか分からないままついて行くと、しばらくして彼の足が止まる。着いたのは公園だった。私をベンチに座るよう促し、自販機に向かった。戻って来た彼は、私にココアを渡してくれた。温かい缶を握りながら、二口さんの言葉を待つ。
二「ねぇ凛ちゃん、さっきのどー言う意味?構ってくれる女の人がどーとかのやつ。」
心なしか二口さんの顔が怖い。
「前、体育館で二口さん私にキスしてきた。初めてだったのに。なんか二口さん慣れてたし、そーいう事するの私だけにじゃないんだろうなって。友達にもチャラい人だろうって言われたし。」
二「俺別に軽い気持ちでしてねーよ。あと、俺の気持ち勝手に決めんなよな。ちょっと傷ついた」
少し不貞腐れてみせる二口さん。
「ごめ、、」
二「謝んなくていいから。勘違いさせるような行動とったの俺だし。言ってとくけど、俺だって初めてだわ。好きな子にハグするのも、キスするのも、会いたくてこんな時間まで待つのも。」
「え? それって、どーいう」
二「あーもう、ばーーか。だから俺は凛ちゃんが好きって言ってんの。」
街頭に照らされた二口さんの顔は少し赤かった。
「なんっ、え?じゃあ全部私の勘違いだったって事ですか」
二「そーだよ。てかその友達誰だよ。ホラ吹きやがって。俺はチャラくないし、そもそも体育館のはキスで止まれた俺を褒めて欲しいくらいだわ。」
「でもその人背中も押してくれたんですよ。だからそんなに悪く言わないでください。それと、私が二口さんの行動1つ1つに嬉しくなるのも悲しくなるのも全部相手が二口さんだからです。私も好きです、大好きです!」
(やっと逃げずに言えた。緊張して声震えたけど。)
私の話を聞いた二口さんが顔を真っ赤にした。
二「好きな子に好きって言われるのやばい。こんなに嬉しいと思ってなかった。ありがと。
なぁ凛、俺と付き合って。」
「っ、、。はい!」
初めて呼び捨てで呼ばれた事にドキドキしつつ、不器用ながらも真剣に伝えてくれる彼が凄く愛おしいと思った。誰もいない夜の公園で告白された今日、私は二口さんの彼女になった。