第2章 バレーボール
☆凛side
体育館に戻ってきて、要くんのせいでみんな大騒ぎになってたけど事も落ち着いたみたい。
二口さんはこーなる事がわかっていたのだろう。少し人の悪い笑みで要くんや鎌先さんを煽る姿はやっぱり構って欲しい子供のようだ。要くんは生意気な後輩って言ってたけど、何やかんやで仲のいい姿を見ると微笑ましくなった。
舞さんにはテーピング褒めて貰えたし、伊達工の皆も温かい人達ばかりで嬉しくなった。
それからすぐ2セット目が始まり、3セット目も行われた。その間私は舞さんの得点ボードやモップがけを手伝った。
休憩中は選手の人達にバレーの事を教えて貰ったり、監督には横断幕である伊達の鉄壁の意味について教えてもらった。
(あぁ、楽しいな。シューズの擦れる音と床を蹴るドンって音。レシーバーの人たちがボールをあげた時の歓声、チームで声をかけ合う姿。なんで忘れていられたのだろう。)
久しぶりにバレーに触れた私は昔、優衣と要くんと楽しくバレーをしていたことを思い出しながら、その時よりも遥かに強い人たちのプレイを見ながら胸が高揚した。
その姿を見ていた舞さんが
(あー、凛ちゃんもバレー馬鹿なんだろうな笑
これを機に本当にマネージャー誘ってみようかな。他校だけど監督とコーチぐらいすぐ説得出来そうだし、1人だとさすがに私もきついし。)
なんて考えながら熱い視線を送っていた事は知る由もない。
あっという間の一日が終わった。
同い年の黄金川君可愛かったなーとか、二口さん子供みたいだったなとか、青根さんとは次会った時もっと仲良くなれるように頑張ろとか考えながら一緒に帰ろうと要くんを待っていると、二口さんに話しかけられた。
「ねー、凛ちゃん。ジャージ返すの来週で良いからさ、また来週も来てくんね?滑津すげぇ喜んでたし、俺も先輩も皆楽しかったからさ。あと、連絡先教えてくんね?」
なんて少し照れて頭を掻きながら言うもんだから、連られて私まで赤くなる。今日初めて見た二口さんの表情にちょっとドキドキしたのは私だけの秘密。
「また来てもいいんですか!?私もすごく楽しかったので嬉しいです。」
って自然と出た笑顔で答えた後、連絡先を交換した。
父と要くん以外の男の人が友達欄にいるのは変な感じだ。