第14章 それぞれの願い
土曜日、今日は部活の日
インハイ予選が迫って来てる。ソワソワして落ち着かない私は部活の1時間半くらい前に学校に着いた。静かな部室の壁に貼られた全国出場の文字。これは要くんが書いたんだって舞さんから聞いた。大きくて、堂々とした要くんらしい字。
部室を出た私は体育館に向かう
誰もいない体育館で、去年の春高予選を思い出していた
試合後、堅治くんが1人でずっとサーブ練してたな、思い詰めた顔で。あれから半年くらいかな。みんな強くなった
二「なに考えてんの?」
「わっ!!」
体育館に寝転ぶ私を覗き込むように堅治くんが声をかけてきた
「去年の春高予選のこと思い出してたんだよ」
二「すげー昔な感じするな」
「あの時、堅治くんキャプテンになったばっかだったね」
二「大変だったわ、まじで。今もだけど」
「知ってる笑 ずっとね、努力してるところを隣で見てたの。みんなのインハイに行きたいって気持ちも凄く伝わってきてる。だからね、私に出来ることは全部したいって思ったんだ!」
強豪校から集めてきたデータの書類を堅治くんに渡した
二「これなんだ、?」
「平日にね、青城と烏野と白鳥沢にお邪魔して練習や試合での各校の特徴を調べてきたの。それをまとめたものだよ」
二「これひとりで?」
「うん!少しでも力になりたくて」
二「…すげーな。」
堅治くんが堪らずハグしてきた
二「どんだけ時間かけてくれたんだよ、ありがとな。絶対インハイ行くから」
「堅治くん達が悔いのない試合をできたなら、私はそれで満足だよ」
二「まじでいい彼女だな」
「…ッ///」
そんな事言うから、恥ずかしくて真っ赤になった
青「…ゴホン」
二・凛「!!!」
気まずそうな顔をする青根さんが目で訴えかけてきた
二「わりー、全然入って大丈夫だから」
「ほんとにすみません、。」
青根さんに気まずい思いさせちゃって申し訳なかったな
続々とみんなが集まり、アップの時間になったので、私と舞さんはドリンク作りのため水道に向かった
舞「もう3年生だよ、早いな」
「先輩はインハイ終わったら引退しちゃうんですか?」
舞「そりゃーね、3年は春高予選出ないし。引退するよ」
「凄く寂しいです」
ずっと一緒にマネージャーをしてきた先輩が居なくなるのは想像以上に辛い