第2章 それは「運命」で「偶然」で「必然」の出来事。
1人は、口も悪ければ態度も悪いが、成績は全校でトップで、"個性"も派手という、天才不良少年。
もう1人は、礼儀正しく温和、成績も上位に入るくらいの優等生であるが、"無個性"の少年。
性格も見た目も何もかもが対照的な2人は、この学校では有名だった。
特に後者は。
「"無個性"なのに雄英希望なの?」
「ムリに決まってんじゃん」
「記念受験じゃね?」
「いやいや、普通科の可能性も―――」
「それはないだろ。だって、あの"緑谷"だよ?」
くすくすと笑う声が教室を包み込んだ。
人を笑う暇があるなら、自分の事を考えたらいいのに。
なんて、そんなこと言う資格、私には無いんだけどさ。
でも、みんなの気持ちは分からなくもない。
ヒーロー科にしろ普通科にしろ、"無個性"の彼が雄英に合格できる可能性はとても低い。
無謀な挑戦だと笑われるのは仕方がないことだし、それはきっと彼自身も分かっているはずだ。
そっか、緑谷くんヒーローになりたいんだ。
あの頃からずっと変わっていないんだね。
昔から憧れてたもんね、ヒーローに。
「でも爆豪もヒーローって感じしなくね?」
「どっちかって言うとヴィランって感じだよな」
「個性は派手でかっこいいけどね」
「黙ってたらイケメンなだけどなぁ」
今度は爆豪くんの話になった。
爆豪くんの性格は確かにヴィランっぽいよね。
でも、彼もずっと昔からヒーローになるって言っていた、絶対になってやるっていつも言っていた。
彼等は昔も今も何一つ変わっていない。
私は進路希望の紙でヒコーキを作り窓の外へと飛ばせば、それは風に乗りどこまでもまっすぐに飛んでいくと思った、が、数メートル飛んですぐに墜落してしまった。